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構造主義 (図解雑学シリーズ) 小野 功生(著) 1449円


いいです

人間の理性と歴史の発展という二つの理念を標榜していた西洋近代を批判したという構造主義の重要な役割を筋道だって解説することに集中しているから、構造主義の魅力が学べる。ポスト構造主義以前の所まではとてもよくできていると思う。人間の理性とか歴史の発展はなんだかんだ言っても未だに多くの人に受け入れられていると思う(特に古典派マルクス主義信望者や進歩的知識人たち)。ということで構造主義の重要性は未だに大きいと思われる。本書のポスト構造主義のところは、簡潔過ぎているかもしれない。私はポスト構造主義についてもまったくの素人だから、なんとも言えないが、本書のポスト構造主義の記述には構造からの脱却という自由を得るためになくてはならない理論だといっているように見えた。そこからリベラル派との親和性が生まれているのだと思う。確かにデリダの脱構築やリオタールの大きな物語に対する批判など学問としては興味深いものがあるし、重要な概念であることには変わりない。さらに少数民族の文化復興運動などにも大きく貢献していると思う。しかし中心の不在として多様な価値観を際限なく認めてしまった場合に、果たして他者との円滑な関係を維持できるのかははなはだ疑問であるように思われる。またそもそも構造からの脱却ということ、すなわち人間は自由でなければならないという概念こそが西洋近代に構築された概念で脱構築されるべきなものなのではないかと、下衆の勘ぐりをしてしまった。ということで、ポスト構造主義の部分は少し理解に苦しむし他の本を読まないといけないかも知れないが、それでもこの本はよくできていると思う。

現代思想の概観が分かる

哲学素人の自分がこう言うのは厚かましいことですが、構造主義を含む、現代の思想の動向が本書には収められていると思います。そして、その内容が短い分量ながらも、エッセンスが読み取れるようになっていると思います。
また、構造主義登場の背景や、思想や哲学それ自体についての反省も述べられており、ある程度の哲学の概観的知識がある人は、なおさら楽しんで読めるでしょう。

自分が言語関係の勉強をしていたので、初めは構造主義の「構造」という言葉にかなり敏感になっていました。読んでみれば嬉しいことに(?)構造言語学のソシュールが登場し、そのソシュールが構造主義に大いに影響を与えていたのでした。また構造主義とは数学的な考え、もしくは近代的科学の考えにも影響された結果の産物であります。哲学という名の分野に属しているものの、言語学や数学、自然科学畑の人たちも是非この考えに触れるべきでしょう。

本書ではタイトルの構造主義の修正案として登場した、ポスト構造主義の紹介もあります。本書の記述に限れば、個人的にはこのポスト〜の考えには賛成できません。筆者の態度は、ポスト〜に完全に与するところなようですが、私としては本書だけを読む限りでは、賛成しかねます。
ドゥルーズとかデリダが引っかかっているので、ヤル気があれば彼らの本に挑みたいと思います・・・。

西洋近代思想史のなかでの位置づけ

いわゆる現代思想ものは、難しい紹介本が多くて敬遠していたのですが、この本は解かりやすかったです。カントあたりまでさかのぼって、西洋近代思想史の概略を説明し、構造主義という思想が登場した意味を解説してくれています。

最後の章で、哲学や思想というものがそもそも何の為にあるのかを説明してあったことも収穫。哲学の本は、哲学オタクの人にしか解からない書き方をしてあるものが多いし、いったい何の為にわざわざこんなことを考えるのか?と思わせるものが多かったので、ああ、そういうことだったのか、とやっと解かった気がします。ぜひ続編も出してほしいです。

ただし、前の方も書いておられましたが、「図解」が本当に役に立っているのかは、ちょっと疑問。私は説明の文章のほうを中心に読みました。その方がかえって解かりやすい気がします。このことは、「図解雑学シリーズ」全体に言えるのかもしれませんけど。

曖昧なものが見えてくる

構造主義に関する本を「図解」で読んだのは初めて。
「図解」なんていうから大したこと書いてないだろうと思いきや、数学との関連もちゃんと載ってたりと、かなりしっかりとした入門書だった。

入門書にありがちな構造主義の説明だけで終わる本ではなく、歴史的な背景や他の思想との関連(カント、ヘーゲル、ハイデガー、ウィトゲンシュタイン、パースなど)、ポスト構造主義の展開なども記されていて、頭の中に全体図を描きやすい!!
しかも大事な用語が丁寧に説明されているので、構造主義者たちの本は読んでみたけど、混沌としてて整理がつかない人にもうってつけかもしれない。
ただ、「図解」といっても図がどれだけ機能しているのかは不明。読んだところをまとめる分には役に立つかもしれないけど・・・。

それでも、橋爪大三郎の『はじめての構造主義』以来の構造主義に関する最高の入門書だと思う。

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